
部分リフォーム:浴室のリフォームについて
浴室をリフォームするタイミング
お風呂の寿命は20年くらいと考えるのが一般的です。ただ、使い方にもよりますが、水栓や換気扇の調子が悪くなったり、浴室のコーキング(防水処理)が劣化したりといった不具合は、10年を過ぎる頃から見られるようになります。15年前後でのリフォームが目安といわれるのはそのためです。
では、具体的に起きる問題を挙げてみましょう。

ヒビ割れやはがれで機能低下
使い始めて10年を過ぎる頃から、お風呂のあちこちには少しずつ不具合が起きてきます。具体的には、床や壁、コーキング材にヒビ割れが生じる、蛇口から水が漏れる、ドアがしっかり閉まらない、換気扇がうまく動かない、排水がしっかり流れずに嫌なニオイが上がってくるといったことが挙げられます。
床や壁のタイルのヒビ割れやめくれは、寿命が近いサインです。タイルではなく化粧パネルを採用している場合も、経年劣化が進むと化粧パネルの接ぎてのコーキング材にひび割れやめくれが生じてきます。床・壁の継ぎ目などのコーキングは、ヒビやはがれが出ていると防水機能が働かなくなります。
また、給排水管にも寿命があり、現在広く使われているポリエチレン管、以前よく利用されていた銅管、1970年代後半まで使われていた鉛管のいずれも、配管に劣化が起きると漏水の危険性が高まります。
汚れやカビが取れない
浴室内に取れない汚れ、カビが増えてくるのも寿命が近いサインです。カビ取り剤などを用いても取りきれないような黒カビは、内部まで浸透していて、そこからさらに広がっていく可能性があります。
また、ヘアピンやカミソリの刃など錆びる物を置きっぱなしにすると、赤茶色に汚れるもらいサビも発生しがちです。こうした汚れが目立つようなら、リフォームすべき日が近いといえるでしょう。
ライフスタイルの変化
住む人の年齢上昇、子供世代の別居や二世帯住宅化といったライフスタイルの変化も、お風呂リフォームのきっかけとなります。
利用者が高齢になるほど、ヒートショック対策やバリアフリー化への需要が高まります。浴室暖房機の導入、手すりや支えの設置、滑りづらい床への変更、引き戸への変更などが必要になり、リフォームするというパターンも少なくありません。
浴室のリフォームのメリット
浴室をリフォームした方の中には「入浴時間が楽しみになった」「入浴時間が長くなった」という方が多くいます。浴室をきれいにすることで、快適に入浴できるようになることはメリットといえます。

断熱性能の向上
お風呂をリフォームするメリットとして、断熱性能を向上させられることが挙げられます。冬場に発生しやすいヒートショック対策にもなるでしょう。断熱性能の向上には、在来工法で作られたお風呂をユニットバスにする、古いユニットバスから最新のユニットバスに変えるだけでなく、断熱材の付加や窓の断熱性能を強化する方法も効果的です。
汚れにくく掃除しやすくなる
お風呂はどうしても汚れるものですし、使用後の掃除も欠かせません。しかし、リフォームによって最新の設備に入れ替えることで、汚れにくく掃除しやすくなるのがメリットです。最近のユニットバスは通常の汚れやカビ、水垢などで汚れにくく、掃除が簡単になるよう工夫された物が増えています。ユニットバスは汚れやカビに強い素材で作られているため、お手入れも楽になるでしょう。
排水口も掃除しやすくなっており、浴槽や床の自動洗浄機能も人気です。
こだわりのポイントを叶えられる
バスタイムをより快適にする浴室暖房機や浴室乾燥機など、こだわり機能の導入を考えているなら、リフォームのタイミングに合わせて追加するのがベターです。
浴室換気乾燥暖房機は浴室を適切な温度に温めることで冬場のヒートショック対策に役立つほか、入浴時の快適度も増します。同時に床暖房も導入すれば、さらにお風呂場を温かくできます。また、浴室換気乾燥暖房機は浴室の換気、乾燥、涼風といった機能を持ち、ただお風呂場を乾燥させるだけでなく、洗濯物の乾燥なども可能です。さらに、カビの発生を抑えるといったメリットもあります。
さらに、ジェットバスや多機能シャワー、節水シャワー、断熱材を用いた断熱浴槽なども人気があります。お風呂でもっとくつろぎたいという人には、浴室テレビやバスオーディオ(浴室用スピーカー)、リラックス照明なども魅力的でしょう。
また、掃除がしやすく見栄えも良い人工大理石浴槽にしたい、あるいは檜風呂にしたいといった要望も多くあります。こうしたこだわりポイントも、リフォームをする際に叶えることができます。
お風呂と洗面室をいっしょにリフォームできる
お風呂と洗面室はどちらも水回りということもあり、ほぼ同じ時期に寿命がやってくるものです。そこで両者をいっしょにリフォームすれば、隣り合った場所のリフォームを一気に済ませるだけでなく、別々にリフォームするよりも費用を安く抑えられます。
新しい浴槽を入れるときは、洗面室(脱衣所)とお風呂場のあいだの壁を壊すケースが多くなりますが、壊した壁には当然新しいクロスを張る必要があります。その際、お風呂と洗面所の給排水給湯管も、広い範囲で点検と交換ができるので安心です。
お風呂をリフォームするタイミングに合わせて、洗面室全体の内装も考えるのは良い選択といえるでしょう。
浴室の各機能について
浴室リフォームで人気のある「浴室乾燥」「ジェットバス」「ミスト機能」の各機能にはそれぞれメリットがあります。

1.浴室乾燥
入浴後に水気を飛ばせるので、浴室にカビが生えるのを防いでくれます。掃除でもカビに悩まされることも減りそうです。さらに、梅雨の時期や冬、花粉が気になる季節でも洗濯物を快適に乾かすことができます。部屋干しすると生乾きの嫌なにおいがするという悩みを解決したいのであれば、浴室乾燥を検討してみませんか。洗濯物が乾きにくい日にはコインランドリーに行っていた人はその手間も省くことができます。機能によって掃除や洗濯がより便利になるでしょう。
2.ジェットバス
ホテルの浴室や温泉、銭湯などに行くとあるジェットバスを家にいながら気軽に楽しむことができます。リラックスできる、マッサージ効果が疲れに効くなど、ジェットバスの気持ちよさ目当てに温泉や銭湯を利用する人もいるかもしれません。自宅にジェットバスをつければ、ジェットバスを目当てに温泉に行っていた人は出かける必要がなくなります。自宅のお風呂でちょっと優雅な気分を味わうことができるのも、この機能のメリットです。毎日のバスタイムをより楽しみたいと考えている人にはぴったりの機能と言えるでしょう。
3.ミスト機能
ミスト機能をつけることによって家でもサウナが利用できます。サウナで体を温めることのメリットとしては血行促進や保湿効果があります。家にミスト機能があれば健康面や美容面でも良い効果が期待できるでしょう。さらに、ミスト機能があれば寒い冬に浴室が冷えることもありません。冬はお風呂に入るのが億劫になるという問題を解決してくれるのもこの機能のメリットです。浴槽から出ているときでも暖かいミストが体を温めてくれるので、冬場でもバスタイムが快適になります。特に冷え性の人には浴室にミスト機能があると良いかもしれません。
浴室のリフォームのポイント
まず注意したいのは、リフォーム工事中にはお風呂に入れない期間が生じることです。また、実際にリフォームしてみてから初めて気づくようなトラブルが起きるケースも考えられます。「リフォーム後のお風呂を使ってみたら、最初のイメージと違った」といったことにならないよう、メーカーのショールームで実物を確かめるなど、慎重に進めるようにしてください。
お風呂に入れない期間を確認する
ユニットバスからユニットバスへのリフォームの場合は、目安として5日間程度お風呂に入れない期間が生じます。例えば月曜日に工事が始まると、新しいお風呂に入れるのは土曜日か日曜日というイメージです。
在来工法からユニットバスへのリフォームは、少し工事期間が長くなります。目安として、10日間程お風呂に入れない期間が生じ、月曜日に工事が始まったとすると、新しいお風呂には翌週の木曜日か金曜日くらいから入れます。これはコンクリート打設とその養生期間が必要になるからです。
お風呂に入れない期間は銭湯やホテル、入浴施設など外部のお風呂を利用するなどの方法を考えておいてください。
見えるところだけではなく、給排水管や給湯器も刷新する
浴槽や内装などがきれいになっても、目に見えない部分を古いまま残しておいたのでは、やがて不具合が出てきます。
そこで、お風呂のリフォームの際には、給排水管もぜひいっしょに取り替えたいところです。銅管や鉛管が使われているなら、新しくポリエチレン管にするのがおすすめです。そうすれば今後も長く給水管を使い続けることができます。
給湯器の交換時期も10年前後が目安です。お風呂をリフォームするまでの間、給湯器を交換していないようなら、一緒に交換することをおすすめします。
大きな窓はプライバシーや防犯の観点に注意する
お風呂に窓をつけると、換気がしやすい、閉塞感が軽減されるなどのメリットが得られますが、デメリットもあります。例えば、プライバシーや防犯上の問題が挙げられます。ちりやほこりが入ってきやすいのも問題です。虫の侵入や窓ガラスが割れる可能性も考えられるため、特に大きな窓をつけるときは、これらを考慮して設置することが大切です。
躯体の傷みで追加工事が発生するケースもある
お風呂のリフォームのために解体工事をしたときに、床下の木材の腐食やシロアリの被害に気づくことがあります。特に戸建てでの在来工法のタイル風呂のリフォームで起きやすく、その場合は腐食部分の修繕・補強の追加工事が必要です。
なお、事前に詳しく調べれば、タイルの割れや亀裂、コーキングの劣化具合などから、床下の様子が推測できる場合もあります。現地調査のときに詳しくチェックしてもらうと良いでしょう。
まとめ
15~20年が経過したお風呂は、たとえ見た目はきれいに見えても、さまざまな不具合を抱えている可能性があります。ご自宅のお風呂の使用期間が該当する場合、新しいユニットバスへの交換、ヒートショック対策やバリアフリー化など、今後の生活に合ったリフォームを考える時期といえるでしょう。
このとき、浴室と隣り合う洗面室もセットでリフォームすれば、費用や工期を抑えつつ、一気にお風呂回りをリニューアルできます。さらに、キッチンやトイレなどほかの水回り設備のリフォームも視野に入れても良いでしょう。
お風呂のリフォームは、自宅の水回り全体を見直す良い機会でもあります。これからも長く快適で安全な暮らしを続けていくために必要なこととして、お風呂のリフォームを捉えることが大切です。